2013年12月03日

アクセシブルなWebでできること、そしてできないこと

このblogに最後に投稿してからすでに長い時間が経ってしまいました。久しぶりの投稿となる今回は、Web Accessibility Advent Calendar 2013向けに、僕が一視覚障害者の立場で考えた、アクセシブルなWebでできること、そしてできないことについて書いてみたいと思います。

僕がWeb上で始めて買い物をしたのは1996年ころでした。それから10数年間、Webは僕にとっての大切な情報源であり、生活のあらゆる部分に影響を与えるライフラインのような存在であり続けています。様々な新しい技術が登場し、Webはどんどん視覚障害者の僕にとってもアクセシブルなものになり、日常生活に必要な多くのタスクをカバーできるようになってきたと言っても過言ではありません。

ニュースサイトやSNSで情報を収集したり、生活に必要な買い物をしたり、銀行で講座の残高をチェックしたり家賃を振り込んだりと、Webでできることを挙げていけば切りがありません。おそらく、コンピューターを使い始めなければ、僕は今と同じような生活や仕事をしていなかったと思います。

一方、アクセシブルなWebが増えたこの2013年であっても、僕にはそれが、自分の生活の根本を変えられている気がしません。なぜかといえば、アクセシブルなWebで提供されているサービスにストーリーを感じることができないからです。

銀行では残高紹介や振り込みなどのタスクを実行できますが、口座開設から利用開始までを僕が独力で行える銀行はまだそれほど多くはありません。大抵の場合、口座開設には紙による書類の提出が必要であり、その書類は僕が読むことのできる点字でかかれているわけでも、僕自身が点字で記入した書類が認められるわけでもありません。

市役所のサービスはどうでしょうか?アクセシブルなwebでは、広報や手続きの流れなどの多くの資料を閲覧できますが、引っ越しの際の転入届や行員届け、出生届などの書類を提出したりする時には、やはり紙の書類への記入が必要でした。コンピューターとスクリーン・リーダーとアクセシブルなフォームがあれば、僕たちにも必要事項が記入できるかもしれない現在であってもです。

アクセシブルなWebサイトを作ることはとても大切です。そして、一つでも多くのアクセシブルなwebを増やし続けることももちろん僕たちの重要な仕事です。しかしながら今日のアクセシブルなwebは、いまだに利用者の生活の一部を便利にするだけのパーツにすぎないと僕は思っています。

来年は是非、そんなパーツをどんどん組み合わせて、アクセシブルなWebを使う人たちが、利用開始から目的達成までのストーリーをイメージできるようなWebの制作に携わってみたいなと考えています。簡単なことではないとは思いますが、アクセシブルなWebを作ること・提供することが目的になってしまわないように、その先を目指して進んでいきたいですね。

posted by Debugon at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | Webアクセシビリティ
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