2010年01月12日

iBill

今年も昨年に引き続き、3月末に行われる25th Annual International Technology & Persons with Disabilities Conferenceに参加させていただくことになりました。Webアクセシビリティをはじめとした最新技術の動向を調査するための、毎年恒例の重要なミッションなのですが、その渡米を前にして、少々気になっている機器があります。

Orbit Researchから発売されている、iBillです。ドル紙幣を瞬時に識別して、それが何ドル紙幣かを音声で案内してくれる機器で、アメリカ滞在の時には必須アイテムともいえそうなものです。

日本では、1000円札、5000円札、10000円札と、それぞれの紙幣の長さが5ミリ単位で異なっていることから、ちょっとがんばれば視覚障害者でもそれぞれの紙幣を識別することができるかと思います(僕の人生の中でも、間違ったお札を出してレジで指摘された経験はたくさんあるのですが)。

しかしながら、アメリカドルの紙幣は、数種類あるすべての紙幣の大きさが同じで、手で触ったり長さを比べたりしただけでは、それぞれの違いを区別することができませんでした。僕が滞在していたときも、事前に信頼できる人にそれぞれの紙幣を分けるのを手伝ってもらい、実際に紙幣を使うときにはお店の方を信頼するしか方法がありませんでした。

2007年のAFB AccessWorldの記事、Show Me the Money: An Evaluation of the Note Teller 2 Money Identifierによる調査結果が示しているように、ドル紙幣を視覚障害者が日常的に使用することは、容易なことではないようです。

前置きが長くなってしまいましたが、このiBillについて知ったのは、Blind Cool Tech PodcastiBill Demoというデモを聞いたのがきっかけです。

デモンストレーションの中では、実際にiBillを使用して、どのように紙幣を識別するかが紹介されておりました。紙幣の識別方法には、前述の音声で紙幣の名前を読み上げる方法のほかに、ビープ音の高さの違いで識別する方法、バイブレーションで識別する方法が用意されており、例えば音声が聞き取りにくい環境や、英語の発音を聞き取るのが難しい利用者も、この機器を利用できるように工夫されていることがわかりました。

従来品に比べてコンパクトで安価になったというこのiBillですが、販売価格は99ドルとのこと、今回は1週間ほどの滞在しか予定していない僕にとっては、少々手に入れずらい機器であるようです。ともあれ、機会をみつけてぜひ試してみたい機器だと感じました。

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2009年12月06日

iPhoneのVoiceOverで全力案内を試してみた

12月11日に開催されるセミナー、アクセシビリティセミナー『iPhoneで広がるウェブの可能性』を来週に控えて、現在もセミナー中にお話しする内容を検討しています。そのセミナーの準備を兼ねて、iPhoneで目的地までのルート案内をしてくれるアプリ、iPhone3G 向けアプリ「全力案内!ナビ」がiPhoneのVoiceOverを用いて利用可能かを調べてみました。

実は、僕がドコモの携帯らくらくホン プレミアムを使用していたころは、携帯電話のルート案内機能を便利に使用していたので、iPhoneにも同じように、歩いているときにルート案内をしてくれるような、VoiceOverで操作可能なアプリがないかと探していたところでした。

先日、上記の全力案内というアプリを購入したものの、アプリの起動直後の画面情報をVoiceOverで読み上げることができなかったため、せっかく900円も払って購入したにもかかわらずしばらく放置していたのですが、近所にでかける用事があったため、試してみることにしました。

結論から先に書きますと、このアプリは使用しやすいものではないものの、VoiceOverを使って出発地や目的地の情報を入力して使用できることがわかりました。目的地に到着したときは、建物のすぐ近くで音声案内が終了するなど、正確さについても結構満足のいくものだと思いました。

まだすべての機能を試せているわけではないのですが、初期設定をして子供と近所のクリニックまで歩いてみましたので、その音声を聞いてみてください。なお、雑音が多かったり、設定中の音声を省略している部分がありますので、理解しづらい内容になってしまっているかもしれません。どうぞご了承ください。VoiceOverで全力案内の基本的な設定を行い、その案内を聞きながら歩くことができたくらいに考えていただけましたら幸いです。

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2009年07月06日

iPhone 3GSを購入しました

昨日、いろいろ考えたあげく、iPhone 3GSを購入することにしました。なんで迷っていたかというと、やはり今使用しているらくらくホンは携帯電話としては素晴らしい機能をもっており、それをiPhoneでカバーできるかという点が不安だったからです。「両方使い分ければいいじゃん」ということも考えたのですが、それは経済的に難しそうなので断念することにします。

とっ、いきなり暗く書き始めてしまったのですが、購入したiPhoneのVoiceOverがしゃべりだしたときは、やはり興奮しました。僕はショップでVoiceOverの機能を使えるようにしていただいたのですが、PC上のiTunesでもそれは可能なようです。さすがAppleですね。

今日とりあえずやってみたのは、メニューを一通りなでまわしてみることと自宅のネットワークへの無線接続です。自宅に持ち帰ったiPhoneは、先日Appleストアで体験した時よりも大きな音量でしゃべってくれました。お店はかなり静かなほうではないかと思ったのですが、やはりVoiceOverの音量がやや小さく感じていたので、とても安心しました。

無線接続するには、WEPキーをiPhoneに入力しなければならないのですが、最初の不安は、どうやってこの13文字のわけのわからない文字列を正確に入力するかということでした。がしかし、スクリーン上のキーボードは、思っていたよりも使いやすくて、1時間くらいで自宅ネットワークに無事に接続できました。

このスクリーン上のキーボード、頭の中でキーボードを思い浮かべながら操作すれば、なんとか使える気がしました。アルファベットと数字の切り替えがやや難しかったり、せっかく入力が終わったのに「接続」ボタンをなかなかみつけられなかったりと大変でしたが、これも慣れていくうちになんとか使えるようになるのかもしれません。

余談ですが、昨日訪れたソフトバンクショップの店員さんが、僕がiPhoneを購入したいと伝えると、「iPhoneはスクリーンにタッチして操作するタイプの機器なのですが、見たところお客様は目がご不自由なようですが、操作は大丈夫でしょうか?」と聞いてくれました。VoiceOverがあるから大丈夫だと伝えると、手続きを開始してくださったのですが、最後まで結構不安そうでした。でも、最後にVoiceOverを有効化した後、画面の内容を読み始めたiPhone 3GSを見て、安心していただけたようです。

これから十分に使いこなせるようになるまでに、どれくらいの時間がかかるかわかりませんが、またレポートしていきたいと思います。

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2009年07月03日

iPhone 3GSを触ってきました

一昨日の仕事の帰り、同僚のKazuさんに案内してもらって、iPhone 3GSを購入すべく、Apple Store, 銀座へ初めて行ってきました。実のところ普段はWindowsばかり使っている僕は、Appleのお店には数えるほどしか行ったことがありません。このお店も、以前からお話だけは聞いていたものの、なかなか訪問する機会がありませんでした。そういえば、日本で行った初めてのApple Storeです。

午後7時から1時間のセミナーに参加した後、同じ部署でいっしょに働いていたSummerWindさんに遭遇、3人で1階においてあるiPhone 3GSのデモ機を触りに行きました。

想像していたiPhoneのインターフェースは、丁度僕たちがWindows版のスクリーン・リーダーでマウスを使って画面を読むようなものでした。なんというか、操作はできなくはないけど、とってもぎこちない感じのものを想像していました。Windowsのスクリーン・リーダーなら、マウスを使うのをあきらめて、さっさとキーボードを使うところなのですが、iPhoneにはそのキーボードがない。いったいどうやって操作するんだろうと、発売前からとても気になっていました。

でっ、初めて使ってみたiPhone 3GSは、僕の想像していたものとは違っていて、慣れればちゃんと操作できるのではないかという印象を受けました。iTunesで曲を再生してみたり、サファリでちょこっとだけWebを読んでみたり、とても充実した時間を過ごすことができました。

操作に熱中するあまり、購入可能な時間を過ぎてしまって、結局手ぶらで帰ることになってしまったのがちょっと残念でしたが、ぜひ手にしたいデバイスだと感じました。いつか、もっと詳細な使用感をどこかでご報告できたらいいなと思っております。

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2009年03月15日

出国前の日曜日

昨日は1日、我が家の無線ランの調子が悪くてごたごたしてしまいました。月曜からは日本にいないので、もし何かあっても設定を調整することができないので、あせってプロバイダのサポートデスクに電話しちゃったりしました。 それにしても、最近は便利な世の中になりましたね。僕が「目が見えないので、こちらでは画面を見て、アンテナが何本立ってるとか、無線ランの親機のランプが点灯してるかどうかとかを確認することができないんです。」と説明すると、サポートの兄ちゃんはうろたえるでもなく「それではご提案なのですが、もし差し支えなければ、こちらからリモート接続で画面を確認させてください。」と言ってくれました。 結局、兄ちゃんも接続が不安定な原因をみつけだすことはできなかったものの、家電などから出る電波とconflictしにくい別の周波数を使うような設定に変更してくれました。 そういえば我が家には、電波を出してしまうような機器として、コードレス電話やUSB接続のヘッドセット、僕が普段使用している赤外線のヘッドセット、電子レンジなど、邪魔をしそうなものがいろいろあるなと改めて実感しました。 今は途切れることなく接続できているので、おそらく問題はほぼ解決できたのではないかな。 予断ですが、兄ちゃんが「それでは、うちのサイトからリモート接続サポート用のツールをダウンロードしてください。」と教えてくれたWebサイト、あんまりできのよいものではありませんでした。兄ちゃんが「ページが開きましたら、オレンジ色のダウンロードボタンをクリックしてください。」と教えてくれたのには、改めて、全盲という状況がどんなに伝えにくいかを実感させられました。きっと、僕がもっと切羽詰った状況でサポートをお願いしていたら、「だあかあらあ、見えんゆうてるやん」と噛み付いてしまったかもしれません。 まあ、うちのプロバイダがアクセシビリティを考えていないのは、僕には仕えないフラッシュのサポートサイトしか提供していない時点で半分あきらめてはいるのだけど。 誤解のないように書いておきますが、僕はサポートページがFlashのコンテンツだから使えないと言っているわけではありません。事実今年の僕たちの渡米の目的は、Flashコンテンツはちゃんとアクセシビリティも考えて作成すれば、スクリーン・リーダーで十分使えるということを発表するためなのです。 さて、本文中に入る広告リンクは、解消されたかな?
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2009年03月14日

出国まであと2日

最近またほとんど更新できていなかったのですが、1年ぶりの渡米をきっかけに少し書いてみたいと思っています。 実は最近更新をサボっているのは、記事を書くと勝手にキーワードによって挿入されてしまうおかしなリンクのせいもあります。 たとえば『ゲーム』とか普通に本文を書いているつもりでも、記事をポストすると勝手にそこがリンクになっているというものです。 きっと僕がどこか設定を変更したときにそうなってしまったと思うのですが、まだ直せていません。 記事に関連した広告を、本文以外のところに出せたらいいなとは思っていて、その設定をやった記憶はあるのですが、そのときにいっしょにいじってしまったのかもしれませんね。 今年で今の仕事を始めて3度目の渡米、年々出国前があわただしくてばたばたするようになってしまったのですが、ロスでどんなことが起こるのか、今年も楽しみです。 さて、出国前にBlogの設定を直しておこうっと。
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2008年12月31日

Rail Racer

このゲームを初めて知ったのは、2007年6月20日のACB Radioのプログラム、Main Menuで開発者へのインタビューを聞いたときでした。通勤途中の電車の中で、おもしろそうなゲームができたなと感じたのを覚えています。

このゲーム、Rail Racerは、Blind Adrenaline Simulationsで開発されたゲームで、臨場感のある音を楽しむことができます。

当時、早速ダウンロードして遊んでみようと思い、デモ版をインストールしてみたのですが、僕のPCではエラーが出て実行できないことがわかりました。あきらめていたとき、昔からのゲーム仲間であるシンガポールの友人から、ぜひこのゲームでオンライン対戦しないかと誘われて、英語圏以外のOSでの実行方法を教えてもらい、なんとかデモ版は動かせるようになったものの、購入して遊ぶ時間がありませんでした。

最終的に購入を決めたのは、今年の円高が始まったころ、Vistaでもこのゲームのデモ版が動作することがわかったからです。ところが、購入してみると、製品版がVistaでは動かないことがわかり、大変ショックを受けてしまいました。

結局、家中のPCすべてに製品版をインストールして試した結果、3年以上使っている非力なPCでのみ動作することがわかりました。今は、ときどきですがシンガポールの友人との対戦を夢見ながら、オフラインで練習中です。

今回は、Vista上で動くこのRail Racerのデモ版の音声をご紹介します。もしかしたら、自分でレースを楽しんでいるような臨場感を味わっていただけるかもしれません。

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2008年10月07日

「盲人襲撃計画」に思うこと

個人的に「僕も狙われるかもしれない」とか、そんな恐怖よりも気になったのが、以下の発言でした。

相手が盲人なら俺の特徴もわかんないだろうからなw

なんというか、ここまで過小評価されている「盲人」というものが悲しいというか、僕がその「盲人」であることがショックだというか・・・。
まったく接点のない方々からみると、盲人とはその程度の生き物にしか写ってないのかと考えると、日々精進していかなければならないなと感じたしだいなのでした。
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2008年04月12日

Tek Talkが信じられないくらい高機能でAccessibleな機器を紹介

日本時間では4月15日の9時、信じられないくらい高機能でアクセシブルな機器に関するプレゼンテーションが行われると、Blind Access JournalTek Talk Presents An Unbelievably Comprehensive And Accessible Deviceが伝えていました。
この機器は、僕が読み取れた範囲では、こんな感じのものです。

  1. 平面と立体のものをデジタルカメラで認識できる

  2. 手のひらよりちょこっと大きいサイズでありながら、60GBのハードディスクにWindows XPを搭載し、10秒以内に物を認識できる

  3. さまざまなサイズの本や雑誌や新聞を読み取るだけでなく、箱やボトルや缶(?や薬)に書かれた文字、そしてテレビの画面やディスプレイのテキストも読むことができる

  4. 撮影位置にかかわらず、自動的に写っているものの形を認識し、相対関係、歪み、形を補正することができる

  5. 撮影中に音声で「カメラをちょい右」とか、「ちょこっとカメラを引いて」とかを知らせることができる

  6. 編集機能までもついているほか、コマンドや文字の音声認識機能や音声録音機能、MP3(プレーヤー?)、手書きモジュール、bluetooth、無線LANも利用できる


機器は視覚障害者や難読症の利用者向けにデザインされたものなので、とってもアクセシブルだそうです。機器の名前はSiRecognizer UMPCだとか。どんな形をしてるのかは僕には想像できないので、画像を見た方はぜひどんな形なのか教えてください。
で、気になるプレゼンテーションはAccessible WorldのTek Talk Conference Roomで、日本時間の火曜日午前9時から行われるそうです。僕は直接参加はできませんが、あとから公開されるであろうPodcastを楽しみにしたいと思います。
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2008年04月08日

商品レビュー

僕が買い物をするとき、Webが大きな役割を果たしていることは言うまでもありません。
先日、お気に入りのモンターニャベロニカというコーヒーを買おうとショップを訪れたとき、アロマサーモステンレスコーヒーメーカー付福袋というものが気になりました。だいぶ前にコーヒーメーカーが壊れちゃって、いつかは買いたいと思っていたところだったので、そのページを開けてどんなコーヒーメーカーなのかを読もうと試みました。
ですが残念なことに、その開いたページを読んでもコーヒーメーカーの型番がよくわからず、ほんとにこの福袋が安いのかそうでないのかを判断することができませんでした。そこで、Google先生に、「アロマサーモステンレスコーヒーメーカー」とは何かを聞いてみることにしました。その結果、とてもおもしろい情報をみつけたのです。
Melitta アロマサーモ ステンレス ダークブラウン JCM-561/TDというYou Tubeに掲載された音声付の商品レビュー動画です。結局、もしかしたらこの型番のものとは違うかもしれないとは思いつつ、コーヒーメーカーとお気に入りの豆を買い物籠に入れてしまったのでした。
もしメーカーのWebサイトで十分な情報が得られない場合、僕たちは商品レビューを次の情報源として活用します。たいていの場合、それはテキスト情報で、それでももちろん十分なのですが、このような動画の商品レビューを見ることができて、また買い物の新たな楽しみ方を発見したような気がしたのでした。
そういえば、海外にはBlind Cool Tech Podcastという情報源があって、視覚障害者のユーザーが、自分が買った商品を使いながら、その使い勝手について紹介するコンテンツをたくさん集めています。僕がDS-50の時計を自分で合わせられるようになったのも、この情報源のおかげでした。
こうして考えてみると、やはりWebの力はすごいなと思うとともに、今回の経験を踏まえて、情報に対しては常にハングリーであり続けたいなと感じたのでした。
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posted by Debugon at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | Webアクセシビリティ